一体(表裏)


人は砂の上に砂をるいるいと積んで
くずしては積み またくずし
破滅の予感におののき一人よがりの理屈をこねて安堵しようとする。
行き着くところを考える余裕のなさが人々の一致団結を生み出す。
人は多勢に押されて己れの不安をしまいこむ協調という絶妙の機会を見逃さないが
物言わぬ万物の望むことを理解しようとせず
融けていくことと
くずれていくことの区別さえ出来ない。
自然をどうやって守るべきか?
繰り返し繰り返しああだこうだと議論は終わらない。
この議論はこころよい。
議論の議論が続き
議論は盛り上がり
人は聖人の境地に酔い痴れて恍惚となる。
そのころ大地は艶やかな姿態を剥がされえぐられ
死に水の酸性雨を浴びせられ
静かに終期の時を迎えようと準備する。
うまいくだもの園の東に面する春の雑木林


自然には愛なんかないよ。
ましてや信頼なんかしちゃいけない。
繊細で壊れやすいなんて言う街の人の言葉を鵜呑みにしちゃ駄目だよ。
しぶとい奴は最後のどんでん返しが得意手だ。
土俵際の貴乃花のうっちゃりみたいにね。
主人公を決めたのは演技者じゃないんだから。
いつでも替えることが出来るのは向こう様。
酸素を吐き出しそれが増えすぎて自分にとって変わる生きものを繁殖させた藻類。
この星で初期を飾った主人公です。
長い長い時を経て子供の大好きな恐竜の時代が来ます。
彼らが主人公の時代に私達哺乳類はこそこそと隠れて暮らすみじめな生きものでした。
命を削る時はめぐり彼らも消えて
水色の星の物語はストーリーを変えながら次から次へ展開していきます。
主人公が変わるからおもちゃ箱の中のように物語は愉快で
危険な飽きる暇がないのです。

大気が汚れればそんな舞台が大好きな
ジャングルを壊して砂漠になればそんな舞台が大好きな
放射能がまき散らされればそんな舞台が大好きな
油ヘドロでべとべとの海になればそんな舞台が大好きな
新しい演じ手達が時の来るのを待っているんです。
じっと息をひそめて自分たちの出番を待っているんです。
私達と性格さえ違っていればだれもが資格充分です。
その時が来ればきっと人間に感謝するでしょう。
いい星を残してくれたってね。

永遠と思える星々にさえ一生がある