うまいくだもの園ファームステイ体験記」No.16

 間もなく大学を卒業し、食品関係の会社に入社するそうです。真直ぐものを観る方でした。食べ物は生命の源です。生産現場でもその意義に立って真剣に取組んでいます。どうぞ生活者に喜ばれる仕事をしてください。
ネクタリン収穫
加工場にてお母さんと

平成16年3/18〜21  千葉県 I・美由紀さん

 私がファームステイをやりたいと思った理由は、本当の農場で、本物の農業に触れたいと思ったからです。広い自然に囲まれた土地で、農家の人と触れ合いながら、作物に対する考え方が変わるのではないかと思いました。大学も4年生で、あと少しで卒業です・・・(涙)。その前に何か自分のためになる事がしたい、そう思ってこのファームステイに来ることにしました。

3/18
 午後、山形着。今日はお母さんと、少しだけどパイとパウンドケーキを作った。久しぶりのお菓子作り。でもこれだけたくさんの量を作ったことは初めて。自分が作ったものが。最後にパッケージに入れられて完成するのを見ると、小さな芸術品が並んでいるようで、できあがりを見ていて飽きない。アップルパイを丸ごと一個頂いた。単純だけどほんとーにおいしくて、お土産にしたくなった。
OL
3/19
昨日は小学校の卒業式で見れなかった隆一朗のパパさん(小学校教諭)も加わって、私にとっては大家族の朝食。3種もフルーツジャムをいただいた。ラフランスが特に気に入って、とにかくいっぱい塗りたくった。
 今日は一日中、桃の剪定の手伝いで、枝の切り口が腐らぬようにボンドの傷薬を塗る作業をした。なにげに、この作業を怠ると、そこから木が病気にかかって死んでしまいかねない重要な作業だ。しかし、ずっとやり続けていると、どの傷口まで塗るかの境目があやふやにってくる。「これくらいはいいだろう」と思って塗らなかったところを「でもそこから菌が侵入して来たらと思い直して二度塗りに戻ったり、意外と神経を使う。
 作業中、ひろかずさんといろいろ剪定の難しさについて話をした。自分は4年やっているがまだまだ・・・。お父さんの頭の中にあるコツのようなものを、理解するのは本当に難しいと言っていた。確かにたけしさんに枝きりを助言しているお父さんの話を聞いても、何が基準か全く持って解からず・・・。
 この時期で果物の実りも出来も決まってしまう。枝の選び方ですべてが変わってくるのだ。最も重要な時期、というのもよくわかる。
 お父さんの木の話を聞いた。普通の農家の人と違って、いろんな考えを持っていて、未来のことをよーく見ているひとなんだなぁと思いました。ベトナム戦争と農業戦争について、ベトナムの負けなかった理由は、ただプライドだ、と言う話。どんな境遇においてもプライドを持ち続けなくてはいけないよ。その言葉に感動しました。奈良崎さんの言葉は決して飾りが無くストレートで解かり易いのに、すごく深みがあるので心に響きます。それも、自分の農園を上から眺めて、わが子のように大切そうな目で話される姿を見ると、本当にくだもの園を愛しているんだなと思いました。
3/20
今日はラフランスの剪定。木の性格の話をお父さんから聞いて、これまた感心。ほぉ確かにこいつはこうゆう強気のやつだって納得して楽しかった。途中ひろかずさんの家族がやってきた。こうきくんはお父さんが大好きらしく何故か休憩までずーっと泣き続けていた。
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 今日のお父さんの話は「木の話Part2]と「短所は長所」の話。お父さんの話はいつも、全てを肯定する視点から始まっている気がして、すごく心が安心するというか、自分は自分でいいんだよと言われている気がする。この人に育てられる人も植物ものびのびと成長していくんだろうなぁと思った。実際奈良崎家の人たちはみんなほのぼのとしていて、しかしたくましい。いいなぁこういうの。 最後の夜、お父さんと改めて農業についてお話しました。「農薬を使わない事は果たして絶対正しいのか」についての意見、私も同感です。私はすぐ人に感化されやすい微妙な性格だけれど、お父さんの自然を自分達と対等に扱おうとする考え方には感動しました。本気で。
 世の中、目先の事ばかりに急いで、今受け入れらないものは排除するという考えばかりです。そんな中で最悪の場合あえて農薬ワクチンを取り入れ、その個体は食べる目的をやめて3年4年・・・10年とじっくり傷を癒してやろう。とか。泣くまでまとうホトトギス的な考えを持つ心のゆとりのある人もなかなかいないでしょう。一番初めに迎えの車の中でいきなり「鳥のワクチンは・・・」と話された時は、なんだかよく分からなかったけれども、今こうして聞いてその意図がやっとわかりました。
 「命」を人間の都合で絶ってしまったり、増殖と言う形で「創りだし」てしまうことは本来どちらも間違っていると思います。人も自然の中で生かされているのだから、人が生活する事でどれだけ生態系に影響させないでいられるか、そのために技術を費やす努力が一番大切なことだと思います。私のような机上の空論ではなくて実際に現場でそれを実現しようと必死に頑張っている奈良崎さんや「らでぃしゅぼーや(自我自賛(笑)) 」を本当に尊敬します。そういう考え方の人たちにたくさん学びたいです。今回の旅は収穫いっぱいです!
ネクタリンの収穫
 
 定年退職後、桃の栽培を始められました。畑作り苗木植栽の時から当園に来ています。本年は待望の収穫ができます。おめでとうございます。今までの苦労が喜びに変わるときを迎えたこと、心よりお祝い申し上げます。
平成16年7/5〜7 埼玉県 O.光佑さん

 桃の苗木を植えて今年で4年目、ようやく実をつけるまでになりました。思い起こせば4年前、私の一方的なわがままを聞いてもらい数回にわたるファームステイでの果樹栽培実技及び講義による実践指導、苗木生産者を通じ苗木の確保と品種選定、電話によるQ&A、忙しい日程をやりくりして埼玉まで出張指導等、きめの細かい指導のおかげで、果樹に対して全く無知な私がここまで到達できたのは、ひとえに「うまいくだもの園」との出会いがあったからこそと常に感謝の気持ちをわすれることはできません。
 今回の訪問目的、桃の収穫に備えた資材調達も、よきアドバイスを得て全て入手。加えて最終段階の樹形を作り上げるため剪定実践訓練も無事終了して第4回目のスケジュールを完了する。いつも気持ちよく歓迎してくれる奈良崎ファミリーに改めてお礼申し上げます。

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