さくらんぼ

さくらんぼ物語

さくらんぼの冬芽  これが春を待つさくらんぼの冬芽です。この部分に花が咲きやがて実が成ります。雪の中ではたわわに成るさくらんぼは想像できません。春の日に照らされると樹自身があたかも雪を溶かすようにして枝が雪の中から現れます。
さくらんぼの花  4月末 さくらんぼの花が咲き始めます。さくらんぼの花はピンクと思いがちですが、実際にはほとんど白に近い色をしています。枝にびっしりと所狭しと詰まって咲くのがさくらんぼです。
花に蜂がとまる  春の日差しが降り注ぐとあちこちからブーンと音がして無数の蜂たちが花粉を集めにきます。こんなにどこに住んでいるんだろう?と不思議になるくらいたくさん飛んでくるのです。
 こんな蜂たちは結構きまぐれで、春の日差しが届かない日にはほとんど来ません。
花粉付け  そこで登場するのが毛ばたき部隊。蜂の代わりに受粉の作業をするわけなのですが、これが思ったよりも重労働。長い棒のさきには水鳥の羽がついている刷毛で、まずは受粉させる木の品種以外の木(受粉樹)の花粉を1本分たっぷりとつけて、それからすべての木にもれなく花粉をつけていくのです。始めのうちはこんなの楽勝!などと思ってやっているのですがそのうち腕がだるくなってきて首が痛くなってくるのです。
さくらんんぼ  花が終わりになる頃にはもう丸いさくらんぼの赤ちゃんができています。
さくらんぼ  1週間もすると風とともに花びらが散り、花から実へ変化する姿を見ることができます。花の中身がふくれてきて、その上に枯れた花が「はげかつら」のようにのっているのです。実が大きくなるにつれ「はげかつら」がつるりとむけてピカピカ黄緑色のちびマラカスが登場します。このときは花が上を向いて咲くのでちびマラカスも上を向いています。
 この頃から実はどんどん大きくなっていきます。不思議なのが、この時期になると大きい実と、小さい実の大きさの差がはっきりしてきます。ここで小さい実をポロポロと落として大きい実だけ残こすのです。
 さらに大きくなって、大きくなれば当然重たくなるので、少しづつ下に垂れ下がってみなさんがよく写真で見るさくらんぼの垂れ下がった形になっていくのです。黄緑色からだんだんに黄色に変わって赤いさくらんぼと変化していきます。
 おいしそうに変化をしていきます。おいしいかな?と思って食べるとさすがにまだ固くて苦みが強くておいしくないのですが、うすく甘みが感じられます。この頃になると鳥も黙っていません。次々と赤くなったおいしそうな実から食べていってしまいます。その前にビニールの屋根をして鳥よけの網がかけられるので、鳥は「なんで、おれたちに食わせないんだよ〜」と周囲でギーギー鳴くのが毎年の恒例行事となっております?
さくらんぼ収穫  枝という枝にはびっしりとピカピカに光る赤いルビーがくっつきます。樹の下にもぐって見上げると本当にみごとなものです。
 と、ここまでたった2ヶ月の物語。あとの10ヶ月さくらんぼは遊んで暮らします・・・なんて書くとさくらんぼに怒られますね。あとの10ヶ月はこの大急ぎの2ヶ月の物語を書く準備。そう、自分を大きくして花芽と来年までのエネルギーを蓄えます。
さくらんぼ収穫  収穫したさくらんぼはテーブルの上にあけて選果します。真っ赤なさくらんぼがテーブル一面を覆い尽くしている姿は感動ものです。
箱詰め  実割れしているものなどを外して、大きさごとにひとつひとつ優しく手に持ってパックに詰めていきます。さて、このさくらんぼはどこにいくのでしょうか。

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