平成12年度山形県立農業大学果専攻学生O.匡之君の体験レポートです。大学において優れているということで、受け入れ農家検討会資料に果樹部門の代表レポートとして掲載されました。よく勉強していってくれました。生活者に愛される農家になれますよう祈ります。 |
平成12年9月12日〜14日 O.匡之さん 果樹専攻学生
私が今回感じたことは、農業に対する考え方が自分が思っているものとまるきっり違っていたことだった。私が考えていた農業とは、農協が指導したことを素直に聞いて、出来るだけ味のいい果物を作り、農協に出荷するのが当たり前で、ごく普通の典型的な一番いいやり方なのかと思っていた。しかし受け入れ農家の方の説明で、農協に出荷しても小売店に出荷するまでのやりとりで経費がかかり、どんなに良い果物を作っても三分の一の収入しか入ってこないと聞かされ、日本の農業がどんなに困難なのか初めてわかった気がした。 経営方法は主に直売だそうだが、私はその直売というものにいまいち興味が惹かれなかった。直売と言っても自分の家で直接売る方法や無人販売などがある。テレビで無人販売の話を何度か聞いた事があるが、盗難などの被害にあっている人がいるそうだ。また直売をやると農協に嫌われるらしく、直売で売れなかったら農協へ出荷するなんて図々しいことは出来ない。 このようなことを聞いて直売でやろうという自信は正直持てずにいた。しかし、ここでは直売以外にも、ホームページを作って果物の販売をしているが、ただ果物を販売するためでなく、消費者に楽しんでもらうためにホームページを仕上げているのを見て、うまく消費者の心理をとらえているなと思った。 それ以外にも、ファームスティを募集して自分たちの農業を消費者に理解してもらおうと、できるだけ努力している。 ファームスティを迎えるにしても、客を引きつけるために、多くの楽しみを堪能させ、多くの果物を食べてもらおうというこだわりには、自分でも何か引きつけられるものを感じた。 やはりホームページやパンフレットなどを作ってわが家の農業を少しでも消費者に理解してもらい、安心して食べてもらえるようにしなければならない。 経営費削減方法は、不良な果物が出ても加工して店で販売している。このように無駄がなく経済的な部分も、私たちが見習っていかなくてはならない。 自分の家では、果物を出荷して残った不良なものは他人に上げてしまうなど、今思えばもったいないことをしてきたなとしみじみ実感している。 農協には農業関係以外にも生活面でも関わってくることが多く、将来農協出荷を止め、直売に転じる方針だが、農協の組織というものを知った以上は腹をくくってやっていくしかないと思う。 受け入れ農家の経営方法は間違いなく最先端だが、栽培技術に対しての考え方も上をいっているものと思う。 私は、農業を経営するのに必要なものは「技術」と「将来どんなプランでどんな果物をつくり経営していくかという目的意識」と「手早さ」の三つが大事だと教えてもらった。やはりおいしい果物をつくるには技術はもちろん必要だと思うし、将来の目的意識が定まっていなかったら時間が過ぎていくだけだし、手早さが無ければ収穫時期に作業が終わらず、味が大きく変わってしまう。 技術はこれから農業をやっていれば勝手に染み付くものだが、将来の目的は自分で考えなければならない。自分は将来、大粒種ぶどうをメインに、直売、インターネットを通じて販売したいと考えている。また、消費者に合わせて自分が好きでないものを栽培したとしても、その果樹に愛着を持てないかもしれない。これは私自身のわがままだと思われるかもしれないが、本当に私自身が気に入ったものをつくることが、本当のこだわりなのだ。しかし消費者のニーズを正面から受けとめてあげることは大事だし、解決できなければ自分の農業は先に進めない気がする。 受け入れ農家では果樹に様々な工夫をしている。例えば、除草剤を使わずできるだけ長く草を伸ばしてから刈る、粉ミルクなどを農地の栄養にするという一般人ではやらないようなことをしているが、これを成功させることはものすごい農業知識を持っている人なのだと思った。 20年間農業をやってきて、今まで何もかも順調に自分のプランを成功させてきたわけではないと思う。それでも今まではホームページで1万人以上もの人が見るほど大規模なものにして、なお家に加工場を作るほどまでの農業経営者になり、すばらしい集大成を現在残している。 葉摘みのやり方で指摘された事があった。両手を使いスピーディーにやるのは農作業の基本なのだが、私はそのことを怠ってしまった。そういったことのないように、初心に戻ったつもりで果樹に対する愛着と集中力をおろそかにせず、自分に妥協しないように自分で自分に言い聞かせなくてはならない。 これからの農業は技術以上に頭だと言っていた。自分には農業が向いていないかもしれないと思っていたが、私の考え違いだったことがわかった。 また学問に関する力ではなくセンスが大事だそうだ。自分は、センスというものは人間が生まれもって授かっている天性のものであり、自分がそれをもっているかどうか不安だった。しかし、センスを磨くのは可能だという。それには、まず世の中のブームに合った果樹をつくって消費者の心をつかんでいくことだそうだ。こういった細かい部分にも視点を当て、様々な角度から農業をみていく必要があると思う。 また、農作業をするときは暗い話をしないで明るい話をしようと自分自身に言い聞かせて果樹を作っているそうだ。自分の農業を世界規模の視野で考えているが、この家に来る前の自分は山形県内の視野でしか農業をしようと考えていなかった。そんな自分が恥ずかしく思う。 今、日本には外国から多くの日用品や、農薬をめいっぱい使った味のわからない果物が輸入されてきている。このため日本の農業者はあまり収益が得られないので、これから私が目指している「直売」という経営方法を取り入れようという農家が増えてくるはずである。またこうした農業経営が活発化していくことによって、今現在個人経営している農家にとって困難な問題になってくるはずだが、そのためにはインターネットにしても加工食品にしても他の人とはまるっきり違う工夫をしてゆかねばならない。 コンピュター社会になれば仕事の負担が減るというメリットもあるが、ライバルが増え競争も激しくなるというデメリットができる。これをデメリットと思わず、皆同じ状況だということを忘れず、このような苦悩を励みにしていけば良いと思う。 受け入れ農家の方は、農業をやりながら積み重ねてきたものも多いが、様々な苦難を乗り越えて、苦しい場面にも何度か出会って真価を問われる時が多かったから、今では大規模な農業経営をしているのだと思う。 今農業経営をしている人達が経験してきたことを、これから自分も体験して乗り越えていかなくてはならない。 自分の目指す農業を確率させるのに何年何十年の年月がかかるかわからない。だから一日でも早く自分の農業を確立するため、今からでも遅くないので少しずつ農業経営のプランを明確にして行くつもりである。 |
8月の「やまがた農業、体験チャレンジツアー」に引き続き、2度目のファームスティです。今回はラ・フランスの収穫を手伝ってもらいました。 |
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平成12年10月21日〜22日 横浜市 神奈川区 E.恵子さん
平成12年10月21日(日本シリーズ第1戦G3:h5)
平成12年10月22日(日本シリーズ第1戦G3:h5)
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