うまいくだもの園ファームステイ体験記」No.11

 明るくチャーミングで心の豊かな感性の高い方が訪れました。スタッフ一同も楽しい日々を過ごさせていただきました。ちょっと遠いのですが又おいでください。皆大歓迎でお迎えします。
やっと色づき始めたふじの前で
加工場でフルーツケーキ作りの
手伝いをしてもらいました
平成14年10月13日〜17日 静岡K.涼子さん
10月13日
 予定通り16時16分東京発の山形新幹線に乗り、一路山形へ。
 東京より北への電車の旅は初めてなので、少し緊張気味だった。(と言いつつ、約三時間の新幹線では爆睡。。。)山形駅で少しさまよったけど、無事お父さんとご対面。自己紹介やうまいくだもの園の出来るまでの話をしながら、納車されたばかりのプラドで奈良崎家にやってきた。
 実は前日のダンス公演の準備と片付け、ファームステイのための準備に追われ金曜日から寝てなかったので、山形駅から奈良崎家への車での移動で寝ちゃったらどうしようと心配したけど、全く心配する必要はなく、逆にあっと言う間に到着した。
 奈良崎家では、私の到着を夕飯を食べずに待っていてくれ、すごく嬉しかったし温かさを感じた。初対面なんだけど、不思議なほど溶け込みやすくてほっとした。

10月14日
 いよいよ今日からお手伝い開始!
 お父さんたけしくん、たいしさんと一緒に山へ出かけた。山でひろかずさんに会い、みんなでラ・フランスの収穫をした。すがすがしい秋晴れの空の下、体を思いっきり使っての仕事はすごく新鮮だった。私はOLの仕事で知らず知らずにストレスを貯めて、時々原因不明で体調を崩す。
 山での仕事は、ラ・フランスやラ・フランスの木や青い空たちが、私の心を癒してくれた。自分よりちょと上のラ・フランスに手を伸ばした時、枝や葉の間からのぞいていた青空、このアングルがたまらなくすがすがしいものだった。ラ・フランスをたくさんもいだ手を何気なく鼻に持っていった。青臭さを期待!?(覚悟?)していたらまんまと裏切られた。すごく甘ーい香りが私の手に染み付いていた。私だけのアングルと私に染み付いた香りを作業の途中に見ながら嗅ぎながら、ニヤニヤして小さな幸せを体験した。
 10時の休憩で食べたジャムクッキーはしっとり感と、かるい甘さが良くて他のお菓子には目もくれず、クッキーばっかりパクパク食べてた。うちのお母さんが食べたら1袋ペロッといっちゃうくらい喜んで食べるだろうなー。アッという間にお昼が来て、アッと言う間に15時が来ていた。心地よい疲労感と心地よい少し冷たい空気が、働いた充実感を与えてくれた。
 そして大好きな温泉へ。石(岩?)でできた本格的?な温泉にウキウキしながらなんて「贅沢」な生活なんだろう〜って嬉しくなっちゃいました。
 この日は、本当によく、ぐーっすり眠れた。22時にウトウトしている自分に少し驚いたけど、これが当たり前なんだよなーって思った。

10月15、16日
 待ちに待ったケーキ作り!!なのに朝寝坊・・・でもホントに楽しくて。嬉しくて仕方がない充実した2日間だった。(2日も経っているのが信じられない程あっと言う間だった。)りんご、ラ・フランス、さくらんぼ、ネクタリン・・・具の多さに「なんてゼイタクー」とニヤニヤしながら1つ1つに思いを込めて焼き上げた。
 ケーキ屋に時々転職を考える私には、1日中ケーキ作りの体験は本当に貴重なものでした。
 マーガリンと砂糖を混ぜるとき、泡立て器でたっぷり空気を加えながら一生懸命混ぜてあげるとまろやかな風味が生まれる・・・ずうずうしくもお母さんに教えてあげたら、すぐ採用してくれて、ほんの少し役に立てたことが、すごおーく嬉しかった。
 加工場で、お姉ちゃんやりゅうくんたちと試食して「おいしい」、「なんか今までのと違う」って感想はホントに嬉しかったしホッとした。お母さんとうまい具合の連携もなんか嬉しかった。次はこれが必要・・・と思うとサッと用意されて出てくる。無駄な時間がなく作れたのが、気分良かった。
 ナイスコンビ!でもやっぱり趣味で作るのと商品として作るのは違うってことも実感した。1グラム単位でぴったりなあのレシピはすごいと思った。計ったものを使って混ぜ合わせて、240グラムX16ヶだから合って当たり前なんだけど、今までそんな風に作ったことがなかったから、合うのが不思議だった。
 シフォンケーキ他贅沢な材料を使ったヒット商品の開発、楽しみながら試作してみます。シンプルで、かつ大胆なアイデアがひらめいたらお知らせします。

5日間を通して・・・
 とにかく新鮮な日々だった。食べることが大好きな私は、幸せ過ぎ(食べ過ぎ?!)な日々だった。
木の話、すごく感動しました。また違った視点で自然と向き合う楽しさを教えてもらった。「自分を成長させるには何かを犠牲にしなければ成長しない」という言葉に心を刺され涙がこぼれそうになる自分自身に驚いた。
 それから詩の「生きること」読んで不思議と涙がボロボロ出てきた。
何 かが心にひっかかる今日この頃。今回の体験で得たことを感じたことを自分自身で整理して、私らしい道を探して行こうと思った。
 また、道に迷った時ここに来ていろんなアドバイスをもらいながら自分探しをしようかな?なーんて迷わなくてもまた来ます。5日間長いようでほ〜んと短い時間ホントにお世話になりました。

隆一朗とピース
 
 山形県立農業大学の学生が研修生としてきました。今年はA.詠一君です。今年も優秀な方がやってきました。将来の経営の形を具体的にイメージできるほどになって帰りました。力強い農業を実現してください。同士として将来お付き合いしましょう。

平成14年9月20日〜10月4日 A.詠一さん
 奈良崎家で2週間学んだこと
 自分が将来どのような農業をするか、また、どのように発展させていくかを勉強するため、山形県立農業大学校に入校しました。
 今、自分が思っている将来図は、まず家の畑はそのままの形で農業をし、良い品種の果樹を作り、農協や市場に出荷し、ファックスで注文してくれてた人達に送るなどをする、そして、田んぼの面積を少し削り、そこに新たに果樹を作りたいと思った。
 作ろうと思っている品種は、ぶどうがいいと思った。それも大粒型の、巨峰、安芸クイーンなどをやってみたいと思った。また、家ではりんごを加工してもらい、ジュースやゼリーにし販売しているので、もっと加工の分野も広げてみたいと思う・・・などを思い描いていました。
 ところが先進農家体験学習で、奈良崎さんのお宅におじゃましてから将来の農業についての考えが変わり始めました。
 まず、畑の作り方で、奈良崎さんの畑では、畑の中に、一カ所だけ空いている部分があったり、他には、木が成木の一歩手前のものもあったりで全体が揃っていなかった。
 奈良崎さんが言うには「こういう畑を作っておくと、空いている所には、別の品種が作れるし全体が揃いだしたら、一番売り上げが低くかった果樹を切れば、また空き地が出来る、その空いている所にまた新しい果樹が作れるという仕組みになっている」ということだった。
家ではそんな作り方をしていないので、真似をするのには長い年月がかかる。そしてそのような作り方は、家の経営の基盤を壊す事にもなり、農業ができなくなってしまうのかもしれないという危険性も相互に理解した。
 そして、ポリシーについて教えられた。「自分のポリシーをしっかりと持っていなければ農業者としてやっていけない」と言われた。このことを奈良崎さんに飽きるほど聞かされた。だからしっかりと自分のポリシーを考えていきたいと思う。
 最初の方でブドウを育ててみたいと言っていたけど、奈良崎さんの畑の堅い桃を食べて考えが変わった。その食べた桃は収穫してから二週間くらい充分に日持ちするというのだ。これはおもしろい桃だと思った。だから将来この桃を作ってみたいという思いが出てきた。
 他には5本の柱について教えてもらった。1.生産、2.加工、3.販売、4.グリーンツーリズム、5.経営管理、である。5本の柱どれも充実させないと優れた農家にはなれない。どの柱もしっかりさせないと充実した農業が完成しない。
 パンフレットの作り方についても教えてもらった。奈良崎さんにこういう質問をされた。「どうしてうちではカラーのパンフレットを作ってないと思う?」と聞かれた。まったくわからなくて答えが見えてこなかった。答えはこうだった。「カラーだと確かに見た目はいいが、消費者が個人で作った物か企業で作った物かと迷ってしまうそうだ。だから白黒でも年間の作物や生産者の写真、ポリシーなどの中身を濃く書けばいい。自分の農園を宣伝するには必ず必要」と教えてくれた。
 ある日の作業の帰りに奈良崎さんが将来経営者になる人だからと心構えについて話してくれた。手伝いに来てくれる人は経営者より早く仕事をしてくれないのだから、確実な仕事を覚えたらスピードを上げることと教えられた。経営者でノロノロ仕事をやっいては皆がノロノロになり作業が進まないし、狭い面積で農業をしなければならない。確かにそんなんでは農業はやっていけないと思った。
 体験学習中初めて加工場に入り作業をした。販売用のゼリーを使った、初めての加工だったので新鮮さがあって一つ一つの作業が楽しかった。五つの柱の一つの加工がようやく解った瞬間でもあった。これは将来わが家でも本格的にしなければならないと思った。家ではまだ、りんごだけしか加工していないので他の品種の加工をやりたい。できれば工場に頼むとそれなりにお金がかかるので、家の近くに加工場を建てたい。そうすれば、いろんな加工品が作れるし、運ぶのも楽になる。だからもっと効率の良い経営を考え、近い将来、家の近くに加工場を作るという目的が出来た。
 ここに来て一番の体験は丁度、朝日町認定農業者の会で金山町の「谷口がっこそば」にグリーンツリーズムを体験、勉強をしに行ったことだ。自分も特別参加と言うことで連れて行ってもらった。谷口分校に着いて体験学習ということで、皆さんと一緒に手打ち蕎麦を作った。自分たちで作った蕎麦はおいしかった。作ったかいがあったと思う。ところで、なぜ、朝日町認定農業者の会のみなさんが谷口分校にグリーンツーリズムの視察に行ったかというと、近年朝日町でも小学校の分校が廃校になっているので、それをうまく利用できないかという理由なのだ。
 元々谷口分校も廃校になったが、H9年6月農業体験学校として、同年の7月には、手打ち蕎麦屋として開業したのだ。そんなことを聞いて驚いた。学校を利用とまではいかないけど、将来、家にファームスティを開いていろんな人に農業を体験してほしいと思う。奈良崎さん家のように2回、3回と来てくれるような環境を作っていきたいと思う。
 これからの将来いろんなことが待っているかもしれないけど、一歩一歩確実に成長していきたいと思う。これからも自分の将来のために農業についての知恵や情報、技術を広げていきたい。
 奈良崎さん家族の方々、2週間という短い間いろいろとお世話になりました。奈良崎さんに教えてもらったことを無駄にしないように農業を頑張っていきます。これからも体に気をつけて農業を楽しんで下さい。ありがとうございました。